夢みる惑星

カルチャーをむさぼりながら空想で生きてる

お手軽ブラック企業ができる過程を見てしまった

 

ある授業で、講師からひとつの課題が出ました。「あなたが思う、ブラック企業とは」

いま社会にひとつ足を踏み出そうとしてる、最後のその瞬間にいるわたしにとって、リアルなようで、幻想のようにつかみどころのない、ブラック企業について、自分の意見をまとめようと、人々が指す「社会」について、容量のない頭を巡らせました。

 

その教室には就活を終えた者、就活まっただ中な者、就活から目を背ける者、わたしを含め、全員が一緒の教室という場所で、席をつき合わせています。普通なようですが、よく考えると、きっと、この先一生来ることのない瞬間なのでしょう。クラスメイトは、就職活動に対する不安の言葉を漏らしています。かくいうわたしは、既に就職活動を終えており、数ヶ月後に控えた労働者としての自分に対しての実感は薄く、"卒業する"という、達成しないことは許されない目標をかかげ、毎朝学校に足を向けております。

 

上記にある「あなたの思うブラック企業とは」という質問は、嫌われがちな月曜1限の授業の講師からの課題でした。

課題といっても、講師が授業の冒頭でひとつの質問を投げかけるというものであり、この授業自体、「ひとつの質問に生徒全員が出席番号順に意見を述べる→先生なりの考えを生徒が聞く」のがルーティーンになっていました。

 

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まず、ある生徒が、ブラック企業として「公私が混同していて、従業員のプライベートが守られない企業」を挙げました。
それに対して、先生は「それを言われると耳が痛いな〜、外に花が咲いていて、なんで仕事しているんだという気になって、"おいお前ら、花見に行くぞ!"っつって、外で酒とか飲むんだよなぁ」との返答。

この「公私混同の企業はブラックだと思う」生徒の意見を間違いかのように、まるで楽しそうな話で押さえつけるという乱暴さ。まずわたしを含めて、一定の人にとって、それは楽しそうでもなんでもない。

 

 

最初は、うすうすと嫌な予感がしていましたが、この瞬間に、予感は強固なものになりました。この講師は非常勤で、本業は経営者です。経営する側が、もうすぐほとんどが雇われる側になる生徒たちに「あなたの思うブラック企業」を問う、という形です。

 

 

そこで一人の学生からこういった意見が出ました。

「たとえブラックでも、自分がやりたいことなら、頑張れる。自分が思わなければブラックではない」

その意見に先生はひどく感心し、賞賛しました。それ以降の生徒は口をそろえるしかありませんでした。

「人それぞれであり、決まった形でのブラック企業は存在しない」

「自分の好きな仕事であれば、他人にとってのブラック企業も、ブラック企業ではない」

 

なんだこのヘイトメーターをぶっちぎる授業は…と思いました。従業員を黙らせて従わせる経営者そのものをやり取りを通じて、実践させられた気分でした。ブラック企業チュートリアルかよ。わたしたちはお前が他者(しかも未来の労働者)からの容認を得るために両親の金使ってここに座ってるんじゃねーんだよ!って思いました。

 

しかしわたしの幻想のブラック企業にはなかったものを、このチュートリアルブラック企業は見せてくれました。ブラック企業は奇しくも悲しくも、従業員も一緒になって作っているのでありました。

 

きっと、本当に、人それぞれなんだろうし、グーグル先生に【ブラック企業 定義】で検索しましたが、よくわからない上に怪しさ満点のサイトしか出てこず、正しさはよくわからないままです。

 

よくわからないまま言いますが、"好き"の力で目を瞑らなければいけない脅威が存在していることは、正常とはいえないのではないでしょうか。

 

例えば、さっきみたいに「たとえブラックでも、自分がやりたいことなら頑張れて、自分が思わなければブラックではない」同僚がいた場合、地獄が待っているとしか思えないのです。ブラックと認めながら、頑張る同僚は、"好き"の力で目をくらますことができないわたしにとって、その同僚の存在そのものがブラック。

 

人の正しさはそれぞれだけど、耐えることが正しさではない人にとって、ブラック企業でも好きの力で耐える人は無自覚に暴力になってしまっています。これが無自覚であればあるほど、その暴力は力を持つでしょう。こんな悲しいスパイラルはありません。努力家の裏に潜む加害性、攻撃性に気づいて、お願い!実際に勤める企業が、自分の中でブラック企業だとして、同期がそれを許し働くのだとしたら、せめて、自分もブラック企業を作っている一人だという自覚は持っていて、と思うでしょう。

 

 

わたしはこの授業に遅刻し(卒業したい)わたしは意見を述べることができなかったのですが、回ってきたら言いたいことがたくさんあって、わたしの意見が真実かはちょっと後回しで、わたしが思っていることすべてをこの人にぶつけたら、考えが変わったりするのだろうか、と思ってしまいました。

 

この講師は正しくなくてもいいから自分の意見を述べろと言ってくるくせに、自分の信じるものに反する意見に対して、ものすごく攻撃してくるのです。論理が合ってないとか言って。ヒー!

 

 

わたしはこの講師が少々苦手で、特に最後の先生の考えを述べるところでは、まるで生徒が述べた意見を一掃し、自分の考えが答えであるかのようにして「ま、これは俺の考えでわからない人もいると思うけど ハハハ」と、おきまりの言葉を、付け焼き刃のように口にします。この人の言い方は態度は、本来この言葉が含むべきである、多様な意見を受け入れる肯定の匂いはなく、突き放される気分になるのです。

 

 

最後に「自分の好きな仕事であれば、他人にとってのブラック企業も、ブラック企業ではない」という生徒に対する先生の返答をご紹介でこのブログを締めたいと思います。

「好きじゃないなら辞めちゃえよって話だよな ハハハ」

好きじゃなきゃしちゃいけない仕事って一体なんですかーーーー!!!!!!

 

さらに、立て続けに「じゃあ、働くってなんの為だと思う?人のため、社会のためだよ ハハハ」

生まれてこのかた、自分が人や社会のためになると思えた試しがないので、わたしの労働は働くとは言えないらしい。わたしの働く理由を、他人に奪われる筋合いはない。わたしはわたしの理由にために、働きながら生きていきたいです。人がどうであれ。生きてるだけで傷つきまくってしまう私たちに花束を。

 

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ちなみに今はフォロワーがいなく、dear自分from自分状態の孤独が作った悲しい世界が広がっています。人生かよって思ってます

 

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